影絵と切り絵は、どちらも紙と光を使って美しい世界を生み出すアートとして人気があります。しかし、似ているようで表現方法や魅力はまったく異なります。本記事では 影絵と切り絵の違いをわかりやすく紹介しながら、楽しみ方を解説します。
■ 影絵と切り絵の違い
● 影絵(Shadow Art)とは?
影絵は 光と影を利用して映し出される“シルエット”を楽しむアート です。黒い紙やキャラクターの形を切り抜いたパーツを光源にかざし、白い壁やスクリーンに影を投影して鑑賞します。
特徴
投影された影が作品
手やパーツを動かすことで変化を楽しめる
ライトの位置や角度が表現のポイント
日本の伝統芸能である“影絵芝居”にも通じ、ストーリー性が出しやすいのが魅力です。
起源は旧石器時代の洞窟までさかのぼります。
紙がまだない時代、人々は石などに絵やら文字やら書いていたものが多数資料として残っていますが、その中でも洞窟に書かれているシルエットならぬ絵は、影をそのまま模写したような構図にみえます。恐らく古来より影絵は人々の生活に寄り添い、今もなお生活に色どりを加えています。
・世界の影絵
影絵と言えば影絵劇。
アジアは世界の中でも影絵の歴史が色濃く、伝統的な影絵劇が盛んにおこなわれています。
インドネシアではワヤン・クリ(ワヤンは影、クリは皮革の意)と言う水牛を使用した人形で上演されています。
インドは特にいろんな民族がいるので多様な種類の影絵劇があります。トール・ボンラータと言うヤギの皮で作られたごく薄い影絵人形劇で、光に透けて幻想的に映るものや、トール・パーヴァ・クートゥと言う鹿の皮で作られた人形は濃い影が映ります。
中国の皮影戯(ピーインシー)はロバの皮で作られ極採色に彩られています。半透明の皮なのでスクリーンで美しい色彩を楽しむことが出来るようです。
その他にも各国で発展してきましたがヨーロッパではドイツやイギリスなどで銀板写真が発明されて普及するまで影絵は盛んなようでした。大航海時代(15~17世紀)また18世紀初期トルコからカラギョーズと言うラクダの皮で出来た影絵人形劇の影響を受け、影絵劇が発展していったようです。

・日本の影絵
日本の影絵は江戸時代に遊びとして、または絵画として盛んに行われてきました。
特に手影絵はいくつも生み出されており、身近に楽しむにはちょうど良い遊びだったようです。
● 切り絵(Papercutting)とは?
切り絵は 紙を切り抜いた線や面そのものを作品として鑑賞するアート です。デザインナイフもしくははさみで紙をカットし、繊細な模様やイラストを表現します。
特徴
完成した紙そのものが作品になる
紙の白黒や色紙を使って視覚的に魅せる
細かさ・線の美しさが作品の印象を決める
壁に飾ったりカードに仕立てたりと、実用性も高いのが魅力です。

・世界の切り絵
上で説明したようにドイツやイギリスでは影絵が盛んに行われていましたが、それと同じく切り絵も盛んに行われていたようです。
ドイツやスウェーデン、オーストリアなどの国でははさみで精密に切り抜く”切り抜き絵”による切り絵が盛んに行われていたようです。。
アメリカではシルエット(切り絵)デザインの飛び出す絵本など発売されています。
残りはこちらの記事で書いてますので、こちらからどうぞ。
↓↓
https://kirieworld.com/history
■ 影絵と切り絵の共通点
切り絵の話をしていると影絵の話が出てくるし、影絵の話をすると切り絵の話をしなければならなくなる。
切り絵と影絵は切っても切り離せない関係であることは言うまでもない。
そして始めるにあたっても影絵と切り絵には次のような共通点もあります。
用意する道具が少なく、始めやすい
黒い紙を使うと視覚効果が高まる
物語性のある作品作りと相性が良い
子どもから大人まで楽しめる
■ 影絵の魅力と楽しみ方
影絵の最大の魅力は、光によって影が大きくなったり小さくなったりするダイナミックな演出性 にあります。
● 影絵の魅力
ライト1つで世界観が変わる
動かしながら楽しめる“動的アート”
手影絵など道具がなくても遊べる
ストーリー仕立ての作品も作れる
子ども向けのレクリエーションとしても人気で、演じる人も観る人も楽しめるのが特徴です。
● 初心者向け影絵の作り方
- 黒い画用紙にキャラクター(動物・人・植物など)を描く
- ハサミまたはナイフで切り抜く
- わりばしや竹串を裏に貼って持ち手を作る
- 懐中電灯やデスクライトを壁に向けて照らす
- 影の大きさを調整しながら動かして楽しむ
ライトの高さや距離を変えることで、作品の印象がガラリと変わります。
■ 切り絵の魅力と楽しみ方
切り絵の魅力は、紙1枚から生まれる繊細で美しい造形美 にあります。
● 切り絵の魅力
細い線の美しさが作品の魅力に直結
白黒のコントラストでクールに仕上がる
色紙を重ねることで表現が広がる
プレゼント・カード制作にも使える
完成した作品を額に入れて飾れば、インテリアになる点も人気です。
● 初心者向け切り絵の作り方
- 図案を黒い紙の裏に写す
- デザインナイフで細い線からゆっくり切る
- 内側 → 外側の順で切る
- 裏から色紙を貼って彩りを加える
- 仕上げに画用紙へ貼り、額装する
切る順番を守ることで失敗しにくくなります。
■ 影絵と切り絵、どちらが初心者におすすめ?
● 手軽さ重視なら「影絵」
用意する道具…黒紙・はさみ・ライト
作品がすぐに楽しめる
子どもと一緒に遊べる
特に、手影絵は手とライトがあれば気軽に始められます。
● 作品として楽しむなら「切り絵」
アートとしての完成度が高い
インテリアに飾れる
細かな作業が好きな人におすすめ
SNS映えする作品を作りたい方にも人気です。
■ 影絵と切り絵を組み合わせた楽しみ方
影絵と切り絵は組み合わせることでさらに表現の幅が広がります。
切り絵で作ったシルエットを使って影絵劇にする
レイヤー構造の切り絵をライトで照らして影を出す
切り絵の作品をライトボックスで鑑賞する
光と影を利用することで雰囲気が増し、奥行きのあるアートが楽しめます。
■ まとめ|影絵と切り絵はどちらも魅力たっぷりの紙アート
影絵と切り絵は、同じ紙を使うアートでも楽しみ方は大きく異なります。
影絵 … 光と影で“動き”を楽しむアート
切り絵 … 紙そのものの美しさを見せるアート
どちらも特別な道具がなくても始められ、子どもから大人まで長く楽しめます。
かつて私も影絵の魅力を知って、切り絵をはじめました。まずは手影絵からはじめてみるのも面白いかもしれません。










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